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日常に物語を。キエリ舎が描く世界

今だからこそ、“日常を物語にする”作品の力を。

どこまでも抜けるような景色。ここ、どこだと思いますか?

 

北欧・フィンランドの地を思わせる風景ですが、実はこちら、三重県いなべ市。

 

牧野綾太さん・利栄さんご夫妻を中心に活動する窯元「キエリ舎」さんのアトリエから見える風景なのだそうです。もう、私なんてこれを見ただけで高まります。

 

愛知・岐阜・滋賀の3県に隣接するいなべ市は、ちょっとGoogleで検索しただけでも、自然に関する情報がわんさか!ご夫婦お互いの実家の中間地点だったこと、そしてこの自然豊かな風景に心惹かれ、この地で窯立することを決めたのだといいます。

 

さて、今回のコラムは、そんな「キエリ舎」さんについて。日常に物語を紡ぐような独自の雰囲気をもつ作品は、どのような想いでつくられているのでしょう。

 

アンケートを通じて、陶芸を志したルーツのこと、作品のこと、amairoの印象や暮らしについて、たくさんの事柄にお応えいただきました。
(2020.4.11 sat)

 


 

 

 

創作の起点にあったのは「絵」

もともと妻・利栄さんは東京の美術大学、夫・綾太さんは名古屋の美術大学で、ともに「絵描き」を志していたというお二人。

 

大学卒業後、利栄さんは瀬戸の窯業訓練校へ。綾太さんは立体造形と平行して音楽家を目指すなかで、利栄さんのお手伝いをするうちに陶芸の道へと進んでいったといいます。

 

 

 

 

キエリ舎を立ち上げたのは、岐阜県の大垣でクラフトのギャラリー「キエリ」を数年営んでいた頃。なんとも柔らかく耳に残る「キエリ」。そこにはどんな意味が込められているのでしょうか。

 

キエリ”とはフィンランド語で“言語”という意味を持ちます。ギャラリーにおいて作品は作家さんの想いを伝える“言語であり言葉である”という意味で名付けました」とのこと。

 

この考え方にとても共感していたのが、そう、我らがamairo店主です。

 

「amairoというお店も、もちろん私たちが生活していくために営むお店ですが、作家さんやメーカーさんの想いを伝える場でもあるとおもっています。それをどんなふうに伝えていくか、ディスプレイや発信で自分を表現する場でもあると思っているし、作品=言語、というのは感覚的にすごくしっくりきます」(店主)

 

キエリ舎さんが今回amairoで企画展を開催する決め手になったのは、店主の「目力」だったといいます。

 

「好きなものにまっすぐな感じを受けた」とおっしゃっていましたが、それもそのはず。

 

「わたし、ちょっと怖いくらいだったかも・・・笑 展示会でキエリ舎さんの作品をみたとき、すごく前のめりになってお話してしまいました」と店主。

 

それくらい、作品が“言葉”をもっていた、ということなのでしょう。後にキエリ舎さんの作品の数々を写真で拝見し、納得。

 

「ああ、この作品たちがひとつでも食卓にあったらたのしいだろうな」と想像が拡がりました。とても個性があるようで、実はどのような器と組み合わせてもスッと馴染む“懐の深さ”がある。わたしはキエリ舎さんの作品にそんな印象を受けました。

 

 

その後、クラフトギャラリー「キエリ」を営むなかで、時間の経過とともに「自分たちの創作意欲がまさっていき、引っ越しを機に自分たちの創作のみで生きていこうと考えたのが窯立のきっかけ」だったそう。

 

“キエリ”の名前に込めた想いをそのまま引き継ぎ、創作活動をする際の屋号として、小屋の意味をもつ“舎”をつけて“言葉の小屋=キエリ舎”に。

 

今度は自分たちの想いが集まる「言葉の小屋」として窯元をスタートしたキエリ舎さん。その作品はどれも、先に述べたように物語性のあるものばかり。作品をつくるうえで明確なコンセプトがあるのでしょうか?

 

 

 

 

 

“テーブルを一枚のキャンバス”と捉えて

 

「陶芸の世界に入った当初は、“深淵なる陶芸の世界・・・”というよりは、どちらかというとアート作品として考えておりました」と、キエリ舎さん。

 

「それでも、実用的な“器”との接点を探りながらつくるうちに“テーブルを一枚のキャンバス”と捉え、2008年から“食卓を描く〜テーブルの上に絵を描く”というコンセプトでつくりだしました。陶のブローチは “陶と家の外へ出かけよう”というコンセプトではじめたもの。今となってはメジャーですが当時は(割れるでしょ・・・)と怖がられていました」

 

 

▲まさに、テーブルの上に絵を描いているよう!

 

「自分たちのつくりたいもの・表現したい世界」と「実際に日常のなかで機能するもの」。その接点を見出すことは、ともすればどちらかを諦める作業になってしまいそうですが“食卓を描く〜テーブルの上に絵を描く”というコンセプトが一本筋を通して、キエリ舎さんの世界を日常の景色に溶け込ませているように感じます。

 

「コンセプトをぶらさずに、“作品にかける想い”・“クオリティの高さ”・“作品から受けるたのしみ”、ぜんぶ揃っている、それはなかなか続けていけることじゃない。本当にすごいとおもいます」と、店主もワクワクした様子で語っていました。

 

 

直感で楽しんでいただけたら

作品が完成するまでの時間は1-2ヶ月。いわゆる工場生産でつかう「鋳込み」ではなく、手で自作の石膏型に粘土を詰めてつくっているので、とても時間がかかるのだそう。

 

それでも、作品からはそんな「大変さ」は少しも伝わってきません。すごく時間をかけたよ!丁寧につくったよ!というささやきよりも、どうでしょう?と、こちらに委ねてくれるような雰囲気があり、「手元にあったらワクワクしちゃうなあ・・・!」ということだけが残ります。それもまた、キエリ舎さんの技術の成せるところなのだろうな、と思ったりしました。

 

▲どの作品も「ここから何かが始まりそう」な気がしてくる。

 

amairoのお客様にメッセージをお願いしたところ、その答えもとてもキエリ舎さんらしいものでした。

 

直感で楽しんでいただけたら。偶然見たことのないような鳥や花に出会ったような気分になっていただけたらうれしいです。感謝の気持ちが伝わったら良いなあ、と」

 

感謝の気持ち。

 

そうか、そうなんだなあ。作品からなんともじんわりと滲み出るやさしさの正体はこれなんだな、と、妙に納得してしまった私。

 

 

そして偶然の出会いを直感でたのしんでいただけたら、という想いにも、物語性を感じずにはいられません。パッと目にした時に「わ!」とときめく。その偶然の出会いで感じたときめきは、きっと日常のなかで生き続ける。「愛でる」という言葉がとてもしっくりきます。

 

さあ、どのような作品がamairoに到着し、どのような方のもとへ旅立っていくのか、今から楽しみです!

 

 

 

 

 

 

 

くらしの隙間に光る喜び

冒頭でお伝えしたように、今回コラムを制作するにあたってキエリ舎さんにアンケートをお願いしたのですが、店主が夜メールをしたらば翌朝ご回答が届くという光の速さでのご協力に、とても感激してしまいました。このような誠実さが、作品にも表れているようにおもいます。こんな時だからこそ、強くそう思います。この場をお借りして、キエリ舎さん、本当にありがとうございます。

 

アンケートの大半はキエリ舎さんのルーツや作品への想いについて尋ねたわけですが、最後にわたしはとんでもなく個人的な暮らしの悩みをぶっ込みました!ご回答いただかずとも大丈夫です、と前置きをして。

 

Q. 私はフリーランスコピーライターとして在宅で仕事をしていますが、うまく家事・育児・仕事を行き来できない、時間の使い方が下手なのが悩みでして・・・(←悩みって言っちゃってる!)。お二方は夫婦と仕事のパートナーという二つの側面をお持ちかと存じますが、仕事と家事をうまく切り替えて行き来するために、なにか決めている習慣などありますか?

 

こんなことを尋ねてみました。するとキエリ舎さん、

 

昔から互いに創作物については口出ししないようになっております。勝手に作ってしまう。お互い知らない間に新作ができている状況です。お金のかかること以外は自由です。家事や仕事、育児、うちも思う通りに事は運んでおりません・・・」

 

というご回答の後、「でも、」とこんなお話を続けていただきました。

 

「でも、自分は幽霊やUFOを見たことがないのですが、家庭や仕事が万事うまくいっている人も見たことがないのです。なので、それはたぶん超常現象だと思っております」。

 

沁みました。

 

今はなおさら、この未知のウイルスに思うようにいかない状況で、なにもかもうまく回るなんて、超常現象です。超常現象ですよ!!みなさん!!(自分に言い聞かせる)

 

さらに、

 

「これはキエリ舎のものづくりの根幹なのですが、日常には“ミッションをうまく遂行させるもの=使い勝手の良いもの”だけではダメだと思っております。ミッションとは関係ない喜びが、思う通りにならない日々に瞬間瞬間で挟まれているのが日常だと思っております」。

 

 

という言葉から、さまざまな個人店がいろいろな判断を迫られる今、amairoがお客様に提供できることに想いを馳せたとき、私はキエリ舎さんのいう“ミッションとは関係ない喜び”、そういうことなんじゃないかな、とスッと腑に落ちたのです。(勝手に!)

 

究極、amairoにあるものはもしかしたら必需品ではないかもしれないけれど、ただ単純に好きなものを手元に置くだとか、それがあるだけで日常が和むだとか、そういうことが、今は特に大切なんじゃないかな、とおもったりしました。

 

 

4/17(金)〜28(火)まで

企画展「日常に物語を。キエリ舎が描く世界」は、4/17(金)〜28(火)までの開催となります。

 

 

amairoでは悩みに悩んだ結果、こちらの企画展を予定通り開催することに決めました。(店主の想いはこちらから)しかし外出自粛要請が出されている今日、通常通りの開催は難しいことも重々承知しております。

 

 

普段はなにかとアナログなamairoですが、ここは文明の利器の力をぞんぶんにお借りして!!!こうしたコラムでのご紹介にくわえ、インスタLIVE・TVでの通販番組風動画、各種SNSからのダイレクトメールやHPからのお問い合わせオンラインショップなど、お店に見に行けないよー、という方にも、ご自宅にいながらにしてワクワクしていただけますように、作品の魅力を全力を尽くしてご案内いたします!SNSなど引き続きのチェックをおねがいいたします。

 

 

さあ、お久しぶりのコラム、ここらで筆をしまいます。
きょうも1日、おつかれさまでした。明日もまた、素敵な1日を。

 

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企画展

「日常に物語を。キエリ舎が描く世界」

4/17(金)〜28(火)まで

期間中は

月・火・木・金・土
11:00-16:00の短縮営業となります。

また、状況によって変更になる場合がございます。
適宜SNSやHPをご確認いただきますようよろしくお願いいたします。

 

 

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