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姉のエッセイ“大人の誕生日の過ごし方”

久々!コラムに戻ってきました

コロナウイルスによる自粛期間。それぞれにいろいろなことがあったと思います。様々な気持ちが交じり合い、なかなか経験することのない時間を過ごしていたのではないでしょうか。みなさん、お変わりありませんか。

 

我が家も娘が幼稚園を登園自粛、夫も在宅ワークにシフト、そして私はいつも家で仕事しているわけですが、本当にいろいろなことを考えさせられた期間でした。

 

緊急事態宣言が解除されて約1ヶ月。やっと少しずつ思うようになることが出てきたり、やっぱり思うようにならないことがあったりという日常のなか、先日35歳の誕生日を迎えました。今回のコラムではそんな今年ならではの誕生日をどう過ごしたのか、エッセイでお届けしようと思います。

 

amairoでは、再開後初となる企画展「gamaru展」が7/5(日)〜26(金)まで開催されますよー!昨年、コラムにしたためておりますのでよろしければ復習がてら覗いてください。

 

▼コラム「360度たのしい、がま口!夏のgamaru展」

(2020.07.03 fri 更新)

 

姉のエッセイ“大人の誕生日の過ごし方”

 

 

私は知っている。

 

梅雨真っ只中だけれど、私の誕生日は晴れるのだということを。朝まで雨だったとしても、必ず晴れる。だから今年、家族に「誕生日プレゼント」を尋ねられた時、即座に「ひとりの時間」と答えたのであった。自転車で小学生みたいに旅をしようと決めていた。

 

もしかして当日起きたらそんな気力はなくて、家族公認のもと、白日堂々何もせずにゴロゴロするということになるかもしれないなあ、なんて思いながら誕生日の朝を迎えると、やたら張り切っている自分がそこにはいた。

 

コロナウイルスによる自粛期間で家族がずっと一緒に過ごす時間が長く、なかなか自分一人の時間が取れなかった。そんな折、自粛明けに夫の両親と久しぶりに会食した時、「この前、おとうさんったら自転車で家から20kmも走って帰ってきたのよ」と、半ば呆れ声で訴えるお義母さんに、思いがけず大きな声で「へえーー!!」と反応を示したのがほかでもない、わたしである。

 

自転車で20km。

 

なんだかものすごいパワーワードに思えたのだ。私もやってみたい。最近全然自転車乗ってない。あの、自分の足で漕いで、進んでいるという感覚を味わいたい。仕事やら家事やら育児やらなにもかもを振り切ってひたすらに走らせてみたい!お義父さんの「へへっ」と笑ういたずらな顔も、わたしには魅力に思えた。

 

自転車に乗って、どこに行こう。義父と同じルートを行ってみるのもいいな。車だと入って行きにくい細道を行くのもいいな。あれこれ考えている暇はない。さあ、旅立とう。お気に入りのワンピースをひらりと家を出ると、霧雨が降っていた。そして寒い。

 

…いや、わたしは知っている。梅雨真っ只中だけれど、わたしの誕生日は晴れるのだということを。少し待ってみようじゃないか。Tシャツに着替えて積ん読(買って積んだままになっている本)を広げ、午前中は読書に勤しんだ。普段どうしても、時間が限られていると仕事に結びつきそうな本を優先して読んでしまう。小説や、なんら関係のない、ただただ面白そうな詩の本やらを読もうとしても、なんだか集中できないのだ。でもこの日ばかりは違った。わたしを縛るものはなにもないのだ。

 

お昼近く、雨が上がった。

 

よし。家族に笑顔でいってきますと告げ、自転車に空気を入れて出発。まず向かったのは、まわる寿司屋。北陸の海の幸を味わえるお店で、普段遣いするにはちょいと値が張る。まわるお寿司でまわらない品を頼むのだ。

 

 

 

 

▲ひっひっひ!しっかり10貫。

 

噛み締めて味わい尽くして、次に向かったのは喫茶店。母に手紙を書こうと思った。一緒に住んでいるとどうしてもLINEのやりとりも事務的なものになり(●時からweb会議です/〇〇を買っておいてください等)、普段の感謝を伝えることもできずにいたため。

 

あーだこーだと脈絡のないままに筆を走らせるのも面白かった。パソコンのように簡単に消せない。書きたい気持ちに手のスピードが追いつかない。無理にスピードをあげると読めない。漢字が思い出せない。便箋の模様部分には文字を書いていいのかよけるべきか。

▲以前amairoで購入した便箋。かわいいからまた欲しい。まだあるかなあ。

 

この時点でも13時半。わあ、まだまだ時間があるぞ。夕飯はどうしても母の麻婆豆腐が食べたくて、リクエストしておいた。我が家の夕飯は18時。あと4時間もある。

 

映画でも観ようかと思ったものの、はっ、肝心の自転車旅をまだしていないじゃないか。いそいそと自転車置場へ戻り、ペダルを踏み込んだ。

 

向かったのは、普段気になっていたけれど車で素通りするしかなかったお店たち。遠い順に行く。お花屋さん。コーヒー豆屋さん。パン屋さん。そう巡るうちに、ああ、この並びにamairoもあればいいのに、と叶わないことを思う。

 

お花屋さんでは大好きな紫陽花を鉢でいただこうとおもったら、もう時期的に種類がなかった。バラを3本買った。自転車の前かごにバラをそっとさして。

 

コーヒー豆屋さんは生豆をローストしてもらう方式のお店だった。コーヒーは好きで、最近は豆から挽いて淹れるアイスコーヒーにハマっている。でも豆の種類はよくわからないので「はじめて来たんですが」と伝えてから豆を選んだ。

 

お会計のときに「挽きますか?豆のまま?」と聞かれて「豆のままでお願いします」と伝えたら、心配そうに何度も聞き返された。「豆でいいのね?」「はい!」「豆ね?」「はい!」。ローストするのに30分ほどかかるというので川沿いを自転車でふらりふらりし、不審者っぽいなあ、と思って止まったら裕福そうな家の前だったので余計に不審者っぽいなあ、と思って再度漕ぎ出した。

 

戻ると「豆のままでいいのね?」おじさんの最終確認が待っていた。はい!豆がいいんです。

 

続くパン屋さんではドライフルーツが練りこまれたドイツパンを2つ買って、ダークチェリーのカスタードパイをひとつ買って、ゆるゆると自転車を漕いで帰宅した。

▲結果的に誕生日プレゼントになったものたち。紫陽花は夫の実家で咲いていたもの。わたしがいつかの母の日に贈ったものを大切に庭植えしてくれていた。

 

15時。もう十分だった。20kmの旅どころか、半径5km圏内くらいの旅だったけれど、自分の意思だけで道を選んで過ごせたこの数時間が愛おしかった。35歳。数字を見るとドキッとしてしまうけれど、いろんな自分を受け容れられる自分になりつつあります。みなさん、わたしは元気です。

 

▲念願の母特製 麻婆豆腐にもありつけました。

 

 

きょうも1日、おつかれさまでした。明日もまた、素敵な1日を。

 

 

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amairoのお知らせ

企画展「gamaru展」

7/5(日)-26(金)まで

11:00-18:00頃まで
定休日:水曜日 *臨時休業あり

最新情報はインスタグラムからご確認ください!

昨年のgamaru展に向けたコラムはこちら

 

 

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